2006.10.29(Sun)
【解説】
1858年に出版された「巡礼の年・第2年イタリア」の第5曲。
この曲集は、リストがマリー伯爵夫人と北部イタリアを旅行したときに触れた文学や芸術作品などにインスピレーションを受けて作曲したものである。この第5曲 "ペトラルカのソネット 第104番"は、イタリア・ルネサンス時代の代表的詩人ペトラルカの14行詩(下記参考)をもとに作られたもので歌曲にもされているが、ピアノ曲も同じく歌と伴奏によって構成されており美しく力強い愛の歌になっている。
私は平和を見出さないが,戦いをせねばならないわけでもない。
私は恐れるが,望み,私は燃えるが,凍る。
私は天高く飛ぶが,地に横たわる。
私は何も手に入れないが,全世界を抱きしめる。
愛の神は,開きも,閉じもしない牢に私を閉じ込める。
私を従者として引き止めもしないが,なわを解くこともない。
愛の神は,私を殺さないが,足かせを外すこともない。
私が生きていることを望まず,私を苦境から救い出しもしない。
私は両目がないのにものを見,舌がないのに叫び,
死を切望するのに,助けを請う。
自分自身を憎み,他人を愛する。
私は悲しみを生のよすがとし,泣きながら笑う。
私には死も生も,同じく苦々しく思われる。
私がこんな状態なのは,婦人よ,あなたのせいなのです。
(野本由紀夫訳、音楽之友社『新編世界大音楽全集』器楽編17より)
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